第一章

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深夜2時。 停留所で雨に濡れたまま市電を待つアイは誰か近づいてくる気配を感じたがそちらを向かず下を向いたまま、でも全神経を近づいてくる相手に向けていた。 「これあげる」 アイが声のするほうへ顔を向けると、 50代くらいの男がアイの目の前に傘を差し出している。 アイが黙っていると、 「これあげる。キミかわいそうだもん。」 男は言った。 かわいそう? アイは男に気づかれないようにひとり苦笑した。 アイは先ほど、会ったばかりの男達に送ってもらうはずが車に入った途端3Pを強要させられ危うく処女を知らない男達に奪われるとこだった。 車内で泣き喚き、そんなつもりじゃなかったすみません家に帰りたいと何度も何度も詫びた。 「うるせぇなやる気失せた。車降りろ」 そうしてアイは土砂降りの外に放り出されていた。
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