第一章

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◇ 春になり高二になってクラスが離れた椎原は別のグループで楽しそうにしていた。 学校の廊下ですれ違っても目も合わさなくなっていた。 アイは夜遊びにまったく行かなくなり友達もいないため学校とバイトの日々を送っている。 最近アイは自分はビニール傘みたいだなと思っていた。 椎原にとって必要なとき以外は邪魔な存在。 どこかに忘れてきても気にしない次の雨には別の傘を用意するだけ… 椎原はおそらくあの夜のだいぶ以前からもう心はアイから離れていたと思う。 いつからだろうか。 いくら考えてもアイにはわからなかった。 あの日、始発で自宅に帰ってすぐ椎原に電話であの男達のことを話したが椎原は素っ気なかった。 ショックだった。 椎原が自分に対して冷たかったことが男達に騙され道に捨てられたことより何倍も傷ついた。 「知らないやつの車に乗るほうが悪いんじゃない?」 罵られて電話は切られた。
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