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 ──あにゅーわーにゃる!  落ち着いて、と猫語で小佐野隊長は椿にとろに話しかけた、が簡単におさまるようなパニックではない。にとろもASTの一員、そうそうパニックを起こすようには思えなかったため、よけいに小佐野隊長は不気味なものを感じた。  にとろの騒ぐ様子は、そのままヘッドセットのマイクを通じて、ワークステーションの中の猫語辞書(レキシコン)に翻訳され、事情が判明してゆく。  ネイティヴな猫の言葉は意外と複雑で、次第になにが起きたのか、小佐野隊長にも理解できるようになった──。 「お昼寝していたら、亀が、たくさん、たくさん、やってきて、攻撃してくる……!」  AIが普段の椿にとろの声を再現して高精度なリアルタイム音声翻訳をしてくれる。ブラインドで聞かせたら、誰も実際ににとろが話している思うはずである。  ──よりによって、なんでまた、アリゾナの飛行機墓場が襲撃されているの!?  と小佐野隊長が猫語で話しかけても椿にとろのパニックはおさまらなかった。それどころかもうAIですら翻訳できない恐怖と嗚咽にも……。小佐野隊長もはじめて見る椿にとろの恐慌状態だった。  ぺたっと座り込んでただ涙を流し、身体を震わせている椿にとろの遥か上方、空の色が紫色がかり、禍々しく異相を呈している。     それは今からたった十分前。  椿にとろがお気に入りのお昼寝場所、飛行機墓場で仲間の猫たちと一緒に午睡をとっていたとき──。
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