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 ひゃっ、と碧砂はヘリコプターのキャビンにうまく着地できず、落ちかける……どこにも掴まるものがなく、ずるっと身体がブラックホークから落ちてしまう刹那、にゃあああ! と声がして、椿が碧砂の両腕をがっちりと掴む。そしてキャビンへと引き上げてくれる。   「た、助かった……椿先輩、ありがとう」 「それよりこれを使ってにゃ」  にとろの目線の先には、M134ミニガンが側面ドアの銃架に据え付けられている。  碧砂はゼネラル・エレクトロニクス製のミニガンを撃ち始めた。照準を次々と押し寄せる人類純血保護機構(HPPI)の輸送ヘリに合わせ、発射を制御する左右のボタン式トリガーを押す。6本の銃身から毎分4000発の7.62mm弾が「ぶー」とも「もー」ともいう音を立てて人類純血保護機構(HPPI)のヘリコプターに襲いかかる。  その間に、椿にとろと、一緒に乗っていた樫村しのぶが椿銃砲店近辺にワイヤーロープを使い降下(ラペリング)し、すでにヘリコプターから降りた敵兵を一人一人、頭部へ正確に弾丸を叩き込んだり、頸動脈を見事に切り裂いていく。   「(へき)ちゃん! それに樫村先輩……!」  葉桐(はぎり)(かおる)来栖(くるす)治子(はるこ)は思わぬ増援に快哉を叫んだ。 「椿銃砲店から見て三時方向、椿さんとわたしが敵を追い込んでる。そちらからは誤射(フレンドリ・ファイア)の危険は低いから撃ちまくって頂戴」  と、樫村しのぶ。  そうこうするうちにも、ブラックホークに据えたミニガンの咆哮は続き、高山植物の咲く原野に敵の散らばった中、人類純血保護機構(HPPI)の輸送ヘリが一機、また一機と火を吹きながら墜落してゆく。   「隊長、むりやりこじ開けられた魔界ポータルは!?」  薫が空になった弾倉(マガジン)を交換しながら訊いた。 「今、碧ちゃんの命令通り、人間界へ大量の小悪魔たちが魔界ポータルから移動、手当たり次第に次の(オルゴン)エネルギーのとして拉致しているわ」  て、ことは……? と治子。
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