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「そう、デビスモンサン空軍基地のハックされた魔界ポータルは改めて閉鎖、もう増援は来ないわ──魔界ポータル管理部によれば現在、無理矢理開放させられるような魔界ポータルは皆無、ハッキングもされていないそうよ」
ひょっとして……と治子はつぶやいた。人類純血保護機構とぐるになっている天使軍が地上へ襲撃をかけた小悪魔たちを屠っているんじゃ……。
「たしかに天使軍も強いけどね」と小佐野隊長。「秋葉原の魔術使い、黒薔薇様のことは知っていて?」
ええ、と薫と治子は同時にうなずいた。
「秋葉原や渋谷、それに新宿……あちこちで天使軍から小悪魔たちを防御するシールドを展開してくれているの」
それは人類純血保護機構が使っている魔道士よりも威力が? と小悪魔の薫。
「そうね、今回人類純血保護機構は早期決着を狙う電撃作戦のつもりだったらしいわね。まだ岡谷さんはじめ、情報収集の結果がないと判然としないけれど。ただ、人類純血保護機構の頼みの綱、謎の魔道士も限界があるみたい、それに彼らも兵員やヘリコプターを失い過ぎた……警戒態勢は続けるけれど、もう増援は来ないとみていいわ。他にもあちこちで魔界ポータルからの強制侵入があったみたいだけど、どこももう聖パルーシア側の防衛でことが済んだし」
たしかに、薫、治子、にとろ、それにしのぶが見ても、こじ開けられ、ハックされたポータルはもう消えており、逢魔が刻の濃い紫がかった色の空が広がっているばかり。
聖パルーシア側のヘリコプターが、椿銃砲店の少し前に着陸した。セパレートのラバー・スーツ、小悪魔の正装姿の六花鐘碧砂が降りてくる。
戦場となった椿銃砲店の店内、不思議と流れ弾や跳弾を受けなかったテレビが一台、日本各地の繁華街で起きた小悪魔たちの若い男性大量拉致事件や上空を目まぐるしく舞う小悪魔たちと天使軍との戦闘を報道していた。
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