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聖パルーシア学園の情報部……岡谷たち、戦場データ収集要員たちの記録を処理すると、人類純血保護機構の連中は乾坤一擲……こちらが思ってもいなかった規模で多方面から攻撃をしかけたことが判明した。
戦闘というものは、戦場の最前線での砲火だけではない……増援の指揮、弾薬から食料、飲料水までの補給とその防衛、いざというときの後方支援、そして通信、索敵……。
岡谷たちカメラマンが記録した映像により、前線の敵兵員数から推測して、当初よりも大規模な侵攻計画だとということが明らかになった。
人類純血保護機構は超国家的な軍事組織と見てまちがいはないはずだったが、聖パルーシア学園の特務の生徒たちによって、重装甲歩兵への拷問、尋問からわかったのが、なにか宗教的、いやむしろ狂信的な側面もあるようだった。
この侵攻より前は、聖パルーシアの誰もが、単純きわまりないある種のヘイト・クライムの延長線上にあるようなものだと思い込んでいたのだ。
ヘイト・クライムどころかヘイト・ウォーフェア。
改めて人類純血保護機構の恐ろしさを目の当たりにした侵攻だった。『生かさず殺さず──地上への浸透をめざす価値の大転換』の著者、葉桐薫も認識を新たにした。
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