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もともとは、聖パルーシアの〈アンティセプティック・チーム〉の追っかけをやっていた岡谷だったが、あるとき人類純血保護機構の息のかかった小学生高学年の児童の狙撃を受け、それ以来ずっと聖パルーシアで暮らしている。
すでに傷は癒え、聖パルーシア学園の日常や、好きな〈アンティセプティック・チーム〉の写真を撮っていた。
そして、ASTの隊長、小佐野美潮は彼に、そういう写真や動画のみならず、戦闘そのものの記録を残して欲しい、とお願いした。
「それじゃあまるで僕は、神林長平先生の傑作、『戦闘妖精・雪風』の深井零やシルフィードみたいじゃないですか……!」
と小佐野隊長に、その重要さをわかっているという含みを持たせて答えた。
「さすが岡谷さんね、『雪風』を読んでいるのは話が早いわ」
「要するに、僕は戦闘記録を残すだけで戦地へ赴き、〈アンティセプティック・チーム〉の誰かが負傷したり、考えたくないことですが全滅してしまった場合でも、そのまま貴重なデータを持って『必ず』聖パルーシア学園まで戻らないといけない……そういうことですよね」
ええ、と小佐野隊長は答えた。
全快してからは、岡谷も体力づくりからはじまって、自衛のための銃器の訓練、サバイバル術などなどかなりハードな訓練メニューをこなし、もともと悪くない顔立ちや身体がより精悍に、よりたくましく変化した。
そして今、ちょうど岡谷は小佐野隊長からお願いされ、その準備をしているところだった。
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