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「私は『一佳(いちか)』、22歳」
一佳さんと名乗る女性は立ち上がって私の方に近づいてきて私の目の前に立った。
一佳さんは私よりも少し背が高くて、スレンダーな体形で髪形はショートカットの少しボーイッシュな感じだった。
そんな一佳さんの姿を見て、私にはとても死んだ人のようには見えなかった。
「どうして死んだ一佳さんが、ここにいるの?」
私が落ち着いて聞くと一佳さんが、
「私は去年まで、ここに住んでいたのよ!
この部屋は、私の思い出がいっぱい詰まっているのよ!」
と少し笑顔で話してくれた。
「貴女の名前は?」
一佳さんの質問に私は、
「私は奏海、18歳」
と返事をした。
すると何かを思い立ったように一佳さんは、
「奏海さんにお願いがあるの?」
と言って、真剣な眼差しで私の顔をまっすぐに見ていた。
私は少し不安に思いながら、
「お願いって何?」
と聞くと一佳さんは少し嬉しそうだった。
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