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「お願いというのは、私の恋人に最後の言葉を私の代わりに伝えてほしいの…」
一佳さんは、すがるような思いでお願いしているようだった。
でも私は、あまりやっかいなことに巻き込まれたくないと思って、
「一佳さん自身が、伝えることできないの?」
と言うと一佳さんが、
「恋人には、私の姿が見えないようなのよ!
それに私の声も聞こえないみたい!」
と少しがっかりしたような言葉使いで話してくれた。
「お願い…
お願いします!」
一佳さんが頭を下げて懇願してきたので、私は言葉に詰まってしまい少し悩んだ。
(どうしよう…)
私は、一佳さんには何か事情があるのかと思って、
「その恋人に会って最後の言葉を伝えたいのには、何か事情があるの?」
と率直に聞くと一佳さんが、
「私の恋人は、私が自殺したと思っているようなのよ!
私が自殺したのは、恋人は自分の責任だと思って、自分を追いつめているようなの…
でも私は事故で死んだのであって、自殺なんかじゃないんだけどね!」
と話してくれた。
さらに一佳さんは、
「私の恋人は、思いつめて自殺を考えているように見えるの…
私はこれを阻止したいのよ!」
と切迫感のある表情で話してくれた。
私には、一佳さんの切羽詰まったような思いが十分に伝わってきた。
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