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「ほい」
ヘルメットを差し出される。
「乗れよ。すかっとするぞ」
父の後ろに乗るなんて嫌だとためらったが「どっどっどっ」という規則正しい排気音にせかされて、ヘルメットをかぶると後ろにまたがった。
「しっかりつかまれよ」
だるるるる、走り出したバイクは不安定で、しがみつきたくないのにどうしたって腕に力が入る。
ばるるるるる、耳が痛くなるような音、お尻から背中を伝って脳天にまで突き上げてくる振動と吹きつけてくる風。
目の前には父の背中。
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