吾輩は◯◯である

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吾輩は◯◯である

 ペンネームが欲しいな、と思うときがあります。日高という名字に名前をプラスした、姓名フルのペンネームが欲しい。  プロアマの別なく、皆さん色んなペンネームをつけていますよね。ネット上で気軽に作品を発表できるようになって、その自由度はさらに増したんじゃないでしょうか。中には頻繁に変更する方もいるようですし。  一方で、本名でずっと書いているプロの作家さんもいる。あれはすごい。もし私が表舞台に出ることがあっても、本名でやる度胸はとてもない。  だって、かつての同級生とかに「日高ってあのシャツによく米粒ついてた奴?」とか言われたり、最短距離で卒アル写真曝されたりするかもしれないんでしょ?やだよ、そんなの。  そんなわけで姓名を名乗るとしたらペンネーム一択です。でもしっくり来るのが思いつかない。以前何かのコンテストに出すときに日高〇〇とフルネームにしたこともあるのですが、これだ!私は今日から〇〇だわ!とはならず、あろうことかその名前さえ忘れ、現在にいたる。  小説の登場人物の名付けも苦手です。大体書きながら思い付きでつけているので「この名前、別作品でもういるっけ?」って、よくなる。  一般文芸の登場人物だとそうでもない気がしますが、ラノベや漫画はすごく凝った名前をつけているイメージがある。  いかにすんなり読めないかも魅力の一つ、みたいな。  子供の頃は私も「小鳥遊」みたいな難読名字や「月海」と書いて「ルナシィ」と読むみたいなトンチが効いた名前をカッコいいと思っていました。  しかし今は読みやすい方が好みです。「ついてこられるか、このセンスに」みたいなのからは降りた。難なく読めるけど印象的な名付けがいい。  一方、難なく読めるけど確信が持てない名前というのもあります。  作家の一穂ミチはイチホと読むのかカズホと読むのか、あるいはどちらも違うのか、私はわかりません。書店の棚を凝視しながら「あ行にない!か行……もない!見落としたか?いや、普通に入荷してない可能性もあるな!?」と途方に暮れたことがあります。結局、元々棚にはなくてフェアのとこに平積みされてたから買えはしたけど。  角田光代もカクタだと知るまでツノダの可能性を捨てきれなかったし。  読み方に迷いがなく、それでいて洒落てる、それが私の求めるペンネーム。そんな名前は何かないものでしょうか。    
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