勘違い

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勘違い

俺は、今から産まれるのか! 「パパ、ママ……僕は、ここだよ! 早く出して、僕を可愛がって。」 「………………。」 「……………………。」 「…………………………。」 「………………ちょ……ちょっと、遅過ぎない!」 「ねぇ……これは?」 その声と共に、俺の目の前が明るくなった。 そして、そこには2人の夫婦……? いや、カップルみたいな見た目の男女が洋服を手に持ち吟味していた。 「いや、待て!!! 君達……いくら若い夫婦でも、自分達の子供をほっといて洋服を片手にイチャイチャするとは、何ともけしからん。」 俺は、自分の両親であろう2人に怒りさえ覚えた。 そして、母親の方が俺に気付き笑顔で俺を抱き抱えると! 「ねぇ、これ見て! 面白い。 ちょっとだけ当ててみて!!!」 「嫌だよ! こんなダサい服……てか、何これ!? 全身タイツ??? 誰が着るんだ!? こんなダサキモい服!!!」 「いや待て、待て…… いくら何でも酷すぎるだろ。 自分の子供に対して、ダサいだのキモいだの…… 泣くぞ! 俺は、本当に泣くぞ!!!」 「良いから、当ててみてよ!」 そして、俺は無理やり押し付けられて 男が持つかたちで鏡に映った自分を確認することになった。 「…………何これ???」 目の前には、胸元にドクロが描かれた全身タイツが映っていた。 「…………ドクロの全身タイツ? 何これ!? 誰が、説明してくれ!!!」 『服で御座います』 「服……? 服って、洋服の服???」 『左様でございます』 「……どう言う事? 俺が頼んだのは、福みたいにしてくれ。そう頼んだはず……」 『推測するに、福と服を間違えたのかと思われます』 「いや、間違えないだろ。普通!!! だって、福と服だぞ! あの優雅な暮らしをしている福と服を間違えるはずがないだろ!!!」 そして、俺は神に言った言葉を思い返してみる。 「…………………福の生活って、服そのままじゃねーかッ!!! しかも、前世の姿っでドクロって死んだ時の姿じゃねーかッ!!! 確かに、服に人間のリアルな顔が描かれている方が気持ち悪いが、ドクロって……」 そして、カップルは沢山笑った後に飽きたのか俺を丸めて置いて行った。 「くそーーー!!! これからどうすれば良いんだよ!!!」 『誰かに、装備してもらう事をお勧めすます』 「誰が好き好んで着るんだよ!!! こんなダサキモい服……」 自分で言ったが悲しくなった。 「…………てか、お前誰だ!?」 『大賢者です』 「おおー! 何と心強い。 大賢者様!!! どうか知恵をお貸し下さい。 これから私は、どうすれば良いのでしょうか?」 『誰かに、装備して貰う事をお勧めします』 「…………とりあえず、誰かが装備してくれる事を願って待つしか無いか。体も動かないし……」 そして、俺は数日間。 誰かが俺を買って装備してくれる事を願って待った。 * * * * * 「ちょっと待てーーー!!! 誰も買ってくれないじゃ無いかッ!!!」 異世界に来て、楽しくも厳しい冒険者ライフを望んでいたのに、こんな身動きも取れない状態あんまりだ!!! もう、こうなったら自分でどうにかするしかない。 『スキルを習得するのは、どうでしょうか?』 「そんな手があるなら早く言ってくれ……」 俺は、何かを変えたくて自分のステータスを覗いてみた。 名前 無し レベル1 HP 1000 MP 1000 守備力 500 インテリジェンスウェポン(服) スキルポイント 100P スキル 無し ユニークスキル 【大賢者】 【捕食者】
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