【完結】藤城先生は、疲れすぎて小説が書けない

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その軟弱な藤城先生が、学校にも行かず、何をしていたか、というと、読書である。 藤城先生は、朝から晩まで、いろんな本を読んでいた。 本の世界は、自分を傷付けないし、漁師になれ、とも言わない。 藤城先生は、いつしか、小説家になりたい、と思うようになった。 そのことを、勇気を出して、お父さんに言った。 お父さんは、じっと黙って聞いてから、藤城先生の目を見た。 「一成、漁師と小説家は似ている」 「え?」 すぐに反対されるだろうと、思っていたのに、予想外の答えに、藤城先生は、驚いた。 お父さんは、続けた。 「どちらも、広い世界を旅するんだ。一成、しっかり頑張れ」 お父さんの言葉に、藤城先生は、泣きそうになったのだった。
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