【帰宅】

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【帰宅】

「神聖日本帝国」と呼ばれるその地は、代々天皇家の統治が国の繁栄をもたらしている。 日本の国家元首であり最高位の「天皇陛下」は国の象徴として(あが)められ、国民から大きく支持されている、はずだった… 天皇家を良しとせず、反乱軍を(くわだ)てた組織「修羅軍」が反旗を(ひるがえ)し次々と国民を殺害、 さらには皇室関係者までもが殺害されるなど 事態は衰退の一途をたどっていた 「人間(アニマ)を絶対に許すな!」 反乱軍が口を揃えて発するのは、まるで別の人種を差別するかのような表現だ 「我々は桃源桃太郎を絶対に許さない」 「奴らを根絶やしにするまでこの戦いは終わらない」 反乱軍の口から出た桃源桃太郎(とうげん ももたろう)は、かつて外大陸に存在していた鬼人(エルマ)族を殲滅(せんめつ)し絶滅に追い込んだ人物である 「我々は長い間人間を監視し、壮大な計画を企てていた」 「奴らは我々の種族を殺し、我々の国を滅亡へと追い込んだ」 当時日本の初代天皇であった 「砂流塵(さりゅうじん)」が外大陸に存在する 「ルノーク大陸(エルマ大陸)」で呪われていた悪鬼たちを殲滅するように桃太郎一行に命を下していた 呪いの原因は人類が誕生する前に存在していたとされる「四方神(しほうしん)」の一柱(いっちゅう)魔鬼御使創主神(まきみしそうぬしのかみ)」によって創造された「ミジュナム魔塊(まかい)」を大陸に持ち込んだことから始まる 「おい、そこの子ども、お前は人間か?」 反乱軍の暴動に巻き込まれた一人の少年は 鬼人に呼び止められる 「はい…あなたたちは何をしてるのですか?」 少年が素直に答えた瞬間、鬼人は形相を変えて持っていた槍を思い切り少年に振りかざした グサッ 「うっ…げほッ」 少年の腹は槍で一突きにされ、顔は徐々に青ざめていき、やがて白目を向いた
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