疑心暗鬼だ

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疑心暗鬼だ

 さらに金髪ヤンキーのカズヤはカサにかかった。 「そしてキララアスカが、オヤジのスマホを使ってみんなを呼び出したんだ。だから丸ハラがなかったんだよ」  ただのヤンキーではないようだ。 「ふぅん、知らないわ。私は!」  キララアスカはそっぽを向いて応えた。 「ううゥン……」ボクも小さく唸った。  確かにカズヤの説は少し強引だが理にかなっていた。  いずれにしてもここにいる全員に動機があった。  しかも犯行時刻、この屋敷近くにいたことは確認済みだ。  誰が真犯人でもおかしくはない。 「……」  みんな疑心暗鬼だ。  相変わらず激しい雷雨だ。  時折り雷鳴が轟いた。 『ところで鬼堂氏にとって『81』という数字は特別なものなんですね』  ナポレオンが話しを変えた。 「えェ?」   「ふぅん、そうよ」本妻はうなずいた。 「8月1日は、あの人の誕生日(バースデー)だからな」  長男の鬼堂ほずみがつぶやいた。 「バースデーか?」  ボクはクローゼットの方を見た。  きちんと飾られたフォトフレームには家族写真があった。  よく見ると日付けが記録されていた。  8月1日だ。  バースデーに家族全員で撮った記念写真のようだ。  鬼堂豪と本妻のレイラ、それと長男のほずみ、次男のカズヤが映っていた。  ほずみとカズヤは愛想笑いを浮かべていた。  嫌々、記念写真に映ったのだろう。  ほずみは第一夫人との子で、カズヤは第二夫人との子だ。  第五夫人の本妻のレイラとは血の繋がりはない。
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