ギャンブル依存症

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ギャンブル依存症

『でもあなたも性急過ぎましたね。ご存知ないかもしれませんが、鬼堂豪氏(お父さん)はあなたのことを一番、気にかけていたんですよ』   「えェ、オレのことを?」 『そうです。ギャンブル依存症の更生施設を調べて、あなたを受け入れてもらおうとしていたんです』 「そ、そんなァウソだ」激しく首を左右に振った。 「いいえ、ウソではありません。書斎の鍵のかかった引き出しの奥からギャンブル依存症の更生施設のパンフレットが幾つも見つかりました」  美人刑事のイスルギリオが発見したパンフレットをテーブルに置いた。 「ううゥッ、まさか!」 『だからこそあなたに、自らのバースデーに(ちな)んだ『ほずみ』と名づけたんですよ』 「そんな……」 『8月1日のバースデーには必ずあなた方と一緒に記念写真を撮っていたのも、口下手な鬼堂豪氏があなたや次男の九十九リョウさんとの家族の絆を大切にしていた証拠なんですよ』 「う……」 『なのにあなたは鬼堂豪氏の言葉を鵜呑みにして、短絡的に遺産相続人から外されると思い込んでしまった。そこで思い余って鬼堂豪氏を(あや)めてしまったんですね』 「ううゥ……、オレはいつだって褒められたことがなかったんだ」 『ええ、鬼堂氏は不器用だったんでしょうね。結局、親の心子知らず。あなたのためを思ってキツく当たっていた事で、あなたに怨まれ殺されることになったんです』 「ううゥ……」  長男の鬼堂ほずみは膝から崩れ落ちた。 「さァ行きましょう」  すぐさま美人刑事の石動(イスルギ)リオやコワモテの鰐口警部補らに逮捕され連れて行かれた。
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