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エピローグ
事件後、改めてボクはナポレオンとノアに礼を言った。
「ありがとう。でもスゴいなァ。スマホを使って事件を解決するなんて初めてだ」
これまでミステリードラマでも見たこともない。
『フフゥン、ダイイングメッセージはクイズみたいなものだから。本来、創始者のエラリー・クイーン以外、使うのは遠慮して欲しいけどね』
「Xの悲劇のですか?」
『そう、スマホで解決するのだって、こけおどしのハッタリだからね。八神一を犯人にしても構わなかったんだけど』
こともなく言ってのけた。
「ハッハハッ、怖いな。まさか、遺産相続でマジに殺人事件に巻き込まれるとは思わなかったよ」
殺人事件の容疑者なんて二度と体験したくない。
『そんなことよりハジメ君のお母さんの手術代の心配をした方が良くないか?』
「あ、そうですね」
考えてみれば、鬼堂豪に母親の入院費の借金をするためにこの屋敷へ訪れたのだ。
『あなたの場合、第三夫人との実子なので、認知されていますから。間違いなく法定相続人として相当分の遺産が貰えるはずです』
「あ、そうなんですか」良かった。
『殺人容疑で捕まった鬼堂ほずみは相続人から外されるので、その分、遺族の分配金は増えるでしょう』
ナポレオンはボクよりもずっと年下だがしっかりしている。
「そうなんですか」
『ですが手術代を支払う日には間に合わないかもしれませんね』
「ううゥ……」それは厄介な問題だ。
どこかで借金をしなければ手術が受けられない。
『どうですか。ボクが立て替えましょうか?』
「えェ、立て替える。入院費をですか?」
ボクは聞き返した。
嬉しい申し出だが、こんな子供にそんな財力があるのだろうか。
「安心してください。彼は龍宮寺財閥の御曹司ですから、ボクらとは桁が違う資産がありますので」
ノアが太鼓判を押してくれた。
「えッ本当ですか。ありがとうございます。もちろん遺産が入り次第、お返ししますので」
ボクは土下座する勢いで礼をした。
『別に、ボクはハジメ君を信じてますからね』
「ハイ」
こうしてボクの母親の手術費用は賄えた。
ようやくこれで最悪の状況から脱したみたいだ。
しかし天才探偵ナポレオンがいなければ、どうなっていたかわからなかった。
まさに彼はボクの恩人だ。
おしまい
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