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ナポレオン
「また事情聴取を続けるのか。だったら坊や、なんか暇つぶしに余興でもしろよ。そうしたら事情聴取に応えてやるさ」
カズヤはニヤリと笑って無理難題を押しつけた。
「いやァ余興なんてできませんよ」
ノアは恥ずかしそうにうつむいた。彼も恥ずかしがり屋みたいだ。
『フフゥン、みなさんは、今夜、鬼堂氏に呼ばれてこの屋敷へ集まったのですねえェ?』
しかしナポレオンは自分の訊きたいことだけをたずねた。
「ああァ、オレはそうだが他のヤツらがどうかは知らないね。オヤジから遺産相続の事で話しがあるってラインが来たんでね。仕方なく屋敷へ来たのさ。オヤジの機嫌を損ねて遺産の取り分を減らされたら堪らないからな」
カズヤはふて腐れたように応えた。
「ああァ、そうだよ。オレも」
長男の鬼堂ほずみもうなずいて同意した。
「ふぅん、オレもだ。気分屋だからね。あの父親は!」
九十九リュウもうなずいた。
「私もよ。遺産のことで大事な話しがあるって」
女子大学生の愛人、雲母アスカもうなずいた。
元売れっ子キャバ嬢だけあって派手だ。
「ボクもです。突然、鬼堂からラインが来て遺産相続の件で話があるからって時間を指定して来たんです」
ボクも洗いざらい応えた。ウソ偽りない。
『なるほど。そのラインは普段と変わりありませんでしたか?』
「えェ、普段と?」どういうことだ。
「なんだい。じゃァ殺人犯が成りすまして、父親のラインを使ってみんなを呼び出したって言うのか?」
九十九リュウが眉をひそめて聞き返した。
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