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「さ、次はせり歌の番だよ」
「いつも高得点出してるんでしょー?」
「聴きたい、聴きたーい!」
「はい、マイク」
灯里は微笑みながら、私にマイクを握らせた。
マズイ。
灯里の後に歌える曲なんかないよ。
みんなの視線が刺さる。私は、観念して言った。
「ごめん、歌えない……」
ドクン、ドクンと、鼓動が頭の中で鳴って、小刻みに震える体。しばらく静寂が続いて、舞美の声でそれは破られた。
「だよねー。歌えないよね」
「えっ?」
驚いて顔を上げると、申し訳なさそうな表情をしたみんなの姿があった。
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