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そんな……。
私はただ、歌うのが好きで、好きな曲を歌って、95点で歌が上手いと思ってた……。周りは音痴ばっかりって、見下してたんだ。
「みんな……あの……」
「ただ単に、炎上してるよ、なんて言っても、周りを音痴だと思ってるせり歌の心には届かないと思ってね。……それに、友達が悪口言われるの、イヤじゃん?」
「舞美……」
「せり歌。よく自分で気づけたね。謝ってくれてありがとう」
舞美の言葉で、一気に涙腺が崩壊した。
「ごっ、ごめん、なさいっ……私っ……」
「やーもー、泣かないでー」
ユカが私をハグしながら、よしよし、と頭をポンポン叩く。
「こっちも今まで黙っててごめんねー」
今度はチカがハンカチを差し出しながら言う。
灯里は、そんな私達の様子を少し遠巻きに見ながら、優しく微笑んでいた。
◆
そんなことがあってから、私はSNSを辞め、周りの人をフラットに見ることで、いかに自分が愚かだったかを知った。
音楽の成績が良かったのは、私が楽しそうに歌の課題に取り組んでいたのを、先生が評価してくれていただけだった。クラスのみんなが大きな声を出して歌わなかったのは、音痴だからではなく、思春期がゆえの恥ずかしさからだったんだね。
そして、友達の大切さも再認識してる。
こんな性格音痴な私と、友達でいてくれたこと。これからは、感謝の気持ちを忘れずに、過ごしていきたい。
「せり歌ー! カラオケ行くよー!」
「はーい! すぐ行く!」
end.
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