ろうそく

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カランコロンカラン 「…あぁ、今日の分かい。倉庫はあっちだよ。」 老婆が指を差した方へ、二人の配達員がゆっくりと歩いて行く。 「最近は蝋燭の数が多くて困るよ。倉庫は足りないし、配達員も二人で運んで来るなんて。嫌な世の中になったもんだね。」 そう言って配達員を見届ける老婆は、机の上のマッチに火をつける。 「生きられるだけで、幸せなはずなんだけどねぇ…」 そう呟くと、椅子の後ろに祀られた一本の蝋燭に、手を添えながら静かに火を移した。
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