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私は割と小さくて太ってはいないけどぽっちゃりしてるし、目は大きくて黒髪で違いすぎる。
神様、ずるいよ。お金持ちで美人の里香子。貧乏でぽっちゃりな私。どうしてこうなるの?
「はあ……まあいいや。とにかく目の前の血液恐怖症を克服しないと何も出来なさそう。今のままだとバックヤードで包帯巻いている毎日しか想像つかないよ」
「紫ったら。面白いこと言うね。そこが紫のいいところだよ」
そんなところ、褒められるところじゃないってば。ていうか、私の褒めるところがないってことかもね……。
そんなこんなで、何とか卒業までこぎつけた私は、看護師になったのである。
看護学校を無事卒業した春休み。
実習で行っていた病院にそのまま就職が決まり、寮に入ることとなった。その準備もあり、少しお休みがあった。
私の大好きな春。
何故か知らないけど、梅の香りを嗅ぐと幸せな気持ちになれた。三月になるとよく梅園にひとりで出かけるほどだった。なんでこんなに好きなのか分からないけど、梅の香りで浄化されている感じなのだ。
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