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「細川さん。君、巡回僕と行ったことないでしょ。新人だし、一度行って覚えてもらった方がいいな。塩野君。また今度ね」
ウインクして塩野さんを見る。 真っ赤になって頷いている。
はー。私は代わりたいのにな。
ガラガラとカートを引いて、京介さんの後ろを行く。
「ほら、後ろにいないで、横に来て」
「?」
私の顔をじーっと見ている。
「なんですか?」
「君、親父が好きなの?」
「え?」
「いつも、親父のことじーっと潤んだ目で見てるよね。あんなおじさんが好みなの?」
私はびっくりして、赤くなってしまった。
「……違います!」
「かーわいい。もったいないな。君、可愛いのに。あんなおじさんやめて、俺にしない?」
「先生こそ、少しは女性を大切にしたらどうですか?」
「いつも大切にしてるじゃないか」
「そうじゃなくて、ひとりの女性を大切にするべきです」
「たくさんの女性を大切にしているよ.心配ご無用。君も大切にされてみる?」
私は呆れて口もきけない。
「ま、いいや。気が向いたらいつでもどうぞ」
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