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最近は逆ギレする人もいるから、自分が攻撃されないように皆知らないふりするんだよね。
世知辛い世の中だけどしょうがないか、私もそういうところあるし。
なんて、言ってる場合じゃなかった。
十四歳の年の差があれば、かけっこだって光琉に勝てると思ったがそうじゃなかった。
二年前なら絶対勝てたのに。
あのときの怪我がまだ治りきっていないのか、全力疾走は無理だったみたい。
石畳に足を取られて転ぶ。
「痛っー!」
左足首を抱えて座り込むと後ろから大丈夫ですか?という声がする。
振り向くと背の高いイケメンが中腰で心配そうに私を見ていた。
「あ、はい大丈夫です」
つい、大丈夫じゃないのに、返事してしまう。前世から、イケメンには弱いんだよね。
「嘘つけ。大丈夫じゃないくせに」
すると、影が目の前に立つ。
もう追いついたの?
見たくないけど、目を上げると光琉がこちらを仁王立ちしてじと目で見ていた。
ちなみにおじさんだから、たくさん走って疲れたのだろう。
マスクを下げて、肩でふーふーと息しながら。
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