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そう言うと、大部屋へ入っていった。私はとにかく付いていく。
「住田さん。どうですか、怪我の具合は?」
同じくらいの年の爽やか青年に京介先生が聞いている。
すると、後ろのベッドの大きな身体の川村さんがびっくりしたように私を見た。
「あー、珍しい.細川さんだ。巡回付いてきたことないよね?」
「え?川村さんおはようございます。静かにしてくださいね」
「住田さん。とりあえず、今日の診察の時にもう一度レントゲン撮りますから、それを見て判断しましょうね」
京介先生はそう言うと、出て行く。
「あとで、お体拭きに来ますね」
「細川さんが来るの?」
住田さんがじっと私を見て言う。
「えーっと。私じゃないかも知れませんけど」
「細川さんがいい」
「それは……」
「頼むね」
「ほらー、細川さん。川村さんのこの包帯だけ巻き直してあげて」
京介先生に呼ばれて住田さんのカーテンを閉める。
「住田さんには気をつけてね」
京介先生が小声で言う。
「?」
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