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すると、こちらをチラッと見たが、目線がすれ違っただけ。私には興味もないって感じ。まあいいや。とにかく仕事、仕事。
すると、その人はじゃあと恭介先生に挨拶して去って行った。
私がじっと見ていたのを京介さんが気付いたらしく、寄ってきて呟く。
「父さんよりはかなり若いけど、君、先生もタイプなんだ。わかりやすっ」
黙っている私を見て、クスクス笑っている。
「先生の父親である藤野院長が俺の父の親友。だからよく知っている。しかし、色男だよな。君も正面から先生を見たら驚くぞ」
どうでもいい情報なんですけど。まあ、いいや。
先生は満足げに私を見るといなくなった。
そんな私も働いて半年が経った頃仕事にも慣れて、ようやく病院での生活がわかりかけてきた。
血が苦手なのは実は相変わらずで、できるだけ採血はしたくなかった。整形外科なので、包帯を巻くのは本当にうまくなったと思う。
最初の頃は何故かすぐに緩くなってしまって、失敗だらけだったが、患者さんになれてくるときつく巻くことも遠慮無く出来るようになった。
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