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週末。
久しぶりに実家へ帰ると、何故か真っ暗。いつもなら、パートが終わった母は戻っているはずの時間だった。
灯りをつけて見てみると、母が机で突っ伏している。
「お母さん、どうしたの?大丈夫?」
私はびっくりして、母の側に行った。
とっさに脈を診て、熱がないか確認する。
「ああ、紫。おかえりなさい」
「お母さん、具合悪いの?顔色悪いよ。病院行った?」
「ううん。行ってないわ。仕事から帰ってきただけよ」
「病院行く?」
「疲れてしまって。眠りたいわ」
「わかった。明日も具合悪いなら一緒に病院行こう」
紫はそう言うと、母を布団へ運んだ。
ぐったりと休む母親の代わりに、家の仕事をかたづけて、おかゆを作り母にあげた。熱が出てきていた。
母は少ししか食べられなかったが、薬を飲ませて寝かしつけた。
紫は心配で自分も食欲がなくなりそうだった。
だが、肉体労働でもあるので食べないと自分も倒れてしまうと思い直し、なんとか食べた。
こんな時、父親や兄弟がいたらどれだけ良かったろうといつも思う。
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