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母しかいないので、彼女の病気を考えただけで気が動転する。
翌日。
具合の悪い母を連れて外来へ行った。
自分の仕事はとりあえず午前中だけでも休ませて欲しいと頼んだ。母子家庭だということも知っている看護師長は許してくれた。そして、優先的に早めに受診できるよう取り計らってくれたのだ。
「ありがとうございました」
母の診療後、薬をもらい、検査結果は翌日以降なのでとりあえず家に連れて帰ろうとした。すると母が自分で帰れると言い張るので、心配だったがタクシーを呼んで家に帰した。
翌日以降もあまり具合の良くない母は無理をしてパートに行っていた。紫は心配で寮に帰らず、実家に最近は帰ってきていた。
自分も働いているので、仕事を辞めるようにお願いすると、母は笑っていた。
「紫。お前の人生はこれからよ。お母さんのようになってはダメ。私のことはいいから自分のことを頑張りなさい」
「ねえ、お母さん。いつから具合悪いの?検査結果は聞いたの?」
「もちろんよ。薬ももらったしもう大丈夫」
「……」
紫は母親の薬を見て、嫌な予感がした。
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