新しい生活

9/12

564人が本棚に入れています
本棚に追加
/206ページ
 思い切って、母のカルテを見せてもらうか、病状について先生に聞こうと決心した。  仕事が忙しく、なかなか内科病棟に行く時間がとれなかったが、意を決して夜勤明けに内科へ行った。  そして、事情を内科の看護師長に話してみる。  すると、じっと考えていたが上の許可が必要だと言って、電話をかけにいった。  看護師長は戻ってくると、私を連れて院長室へ行く。  「え?どういうことですか?何故院長が関係あるんです?」  「詳しくは院長から聞いてちょうだい。じゃあ私はここで……」  そう言うと、看護師長はいなくなってしまった。  思い切って、院長室をノックする。  「どうぞ」  院長の低い声が聞こえた。  「失礼します」  私は思いきって院長室へ入った。  「細川さん。待ってましたよ、どうぞ」  院長はデスクを離れて、ソファー席へ移動した。私に前のソファにかけるよう、手を差し伸べる。  私は緊張しながら、座った。  「まず。何から話すべきかな……君のことは実は頼まれて最初からこちらでお預かりしたんだよ」  「え?どういう意味ですか?専門学校からということですか?」
/206ページ

最初のコメントを投稿しよう!

564人が本棚に入れています
本棚に追加