出会い

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 紫は母が心配だったが素直に忠告に従うタイプではないのを知っていたので、とりあえず外堀から埋めていく作戦に変更した。  それにはまず、叔母に会って話す必要があると思った。  まず、自分の就職に関して心配してもらったことや、柏木総合病院を紹介してくれたことへのお礼を言う必要もあるだろう。  紫は次のお休みに叔母を訪ねようと決心し、院長に頼んで連絡先を聞いた。そして、アポを取り付けた。  院長から話を聞いた翌週。早速、叔母へ会いにいった。  叔母は病院の中の応接室でと指定してきた。どうやら、叔母はただの院長夫人ではなく、仕事をしているようだった。  三時頃約束をしていたので最上階の応接室を訪ねると、エレベーターを出たところで美しい女性が立って待っていた。  どこか、既視感がある。なんだろうと考えたが、笑顔で近づいてくるその人に会釈をした。  「紫ちゃんね?いらっしゃい。大きくなったわね。私が叔母の藤野あかりです。よろしくね」  可愛らしさと色気が同居する人を初めて見た。こんな魅力的な人がいるんだと自分の叔母だというのに見入ってしまう。  「紫ちゃん?」
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