出会い

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 「ごめんなさいね。こんなこと耳にいれたくなかった。ショックだったわよね。でもお母さんが具合悪いのに一人で頑張っているのを聞いてもう黙っていられなかったの。今度は私の出来ることを親族としてさせてほしい。紫ちゃんはどこか私に似ている。あなたを悲しませたくない」  「ありがとうございます。母のことは出来ることならこちらにお願いしたいです。費用は私が払いますから」  「やめてちょうだい。費用はうちで持つから。お母さんには私から話すわ。慰謝料も取らず、両親からの手切れ金も受け取っていないのよ。あなたを育てるのだって大変だったでしょうに。これはこちらが払うべきなのよ」  お母さん……どんな気持ちで私を育ててきたんだろう。涙が出てしまった。  「ああ、紫ちゃん、泣かないで。ごめんね。大丈夫よ。これからはお母さんの代わりに私がいるから、何でも言ってちょうだい」  叔母はこちらへ回ってきて、私の横に座り、背中をさすりながら泣きじゃくる私を抱きしめてくれた。  すると、トントンと扉をノックする音がした。  「あら、もう終わったのかしら。早かったわね」
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