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私はそれでその場を失礼した。この出会いがのちの私の人生を大きく変えることになるとは知らなかった。
翌日。病院に出ていつも通り仕事をこなしていた。今日は清拭の仕事が私に回ってきて、皆さんを順番に拭いていく。
住田さんの番が来た。
「背中は私が拭きますけど、前は住田さん自分で拭けますよね?」
「そうだね。でも足は頼んでいいかな。右ギブスだし、動けないから」
「わかりました」
背中を熱いタオルで拭いていく。
「気持ちいいよ」
「そうですか。良かったです」
前に回って右足を拭きだした。
「もっと拭いてよ」
なんか、近いんですけど。すると、私の背中を撫でている。
「え?」
「ありがとう。お礼だよ」
そう言って、肩を揉む振りをしている。
気持ち悪い。身体を離して立ち上がる。
「どうしたの?まだ、左足も残ってるよ」
私は立ち上がったまま動けない。上手にいなす方法がわからないのだ。座って左足を拭きだした。
すると、また、背中を撫でられる。今度は右手で背中を撫でたまま、左手が頬を触る。
「やめてっ!」
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