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私は驚いて立ち上がって距離を取った。
「なに大きな声を出しているんだい?周りに聞かれたらどうするの?」
にやりと笑ってこちらを見る。
私はとっさに、タオルをつかんだまま住田さんのところを出た。
周りは皆カーテンを引いているので気付かれていない。急いで走ってナースステーションに戻る。私の様子が変なことに気付いた看護師がいたが、なんだか知らんぷりされている。
すると、塩野さんが近づいてきた。
「もしかして、住田さん?」
「え?」
「どこまでされたか知らないけど、あの人常習犯だから。よけ方を覚えないとだめよ。ああいう人はこれからもたくさんいるからね」
意地悪な笑みを浮かべている。信じられない。慰めてくれるどころか、しょうがないんだみたいな言い方。
「それ、どういうことですか?みんなあんなセクハラに耐えるのが当たり前ってことですか?」
私は涙をためた目で言い返してしまった。すると、他の看護師がこちらを見た。知らんふりしている。
そこへ、京介先生と藤野先生が入ってきた。
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