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高校卒業後、私は大学の医学部へ……行くはずだった。小さい頃の予定では……。でも、高校入った段階でそれはまず無理だとわかった。
まず、頭がそこまで良くない。奨学金になるのは大前提だとしても、できるなら推薦で大学へ行きたかった。
お医者さんになれないなら、私は何になれるかな?と考えてみた。
高校卒業段階で働かないとお母さんが可哀想だと思っていたし、手に職をつけた方がいいとお母さんからもずっと言われてきた。
そうなると、私の頭は単純明快、残りは例の看護師しかないと思い始めた。高校から推薦をもらって、めでたく看護師の専門学校へ入学した。
ちょっと予定はずれたが、真面目に勉強して良い看護師になろうと頑張っている。でも、実は血が嫌い。そのうち慣れるかと思っていたけど、やはりダメだった。
「紫。また、この間吐いたんだって?」
親友の里香子が呆れたようにこちらを見る。
「だって、佐奈が採血下手で血管えぐれて血が噴き出すの見ちゃったんだもん」
「手術室に入る看護師なんて、もっとエグいのを見るんだよ。何言ってんのよ」
「……慣れると信じてるの」
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