プロローグ

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プロローグ

「見つけたぞ、(ゆかり)。もう、逃がさないからな」  振り向くと、そこには髪を振り乱してゼエゼエ言う三十七歳のマスクのおじさん。  かたや、両手に買い物袋を持ってルンルン一人を満喫していたはずの私はマスクの下はお肌ピチピチの二十四歳です。  「嘘……せんせ、どうしてわかったの?」  「どうしてって、それはお前を今度こそは何が何でも逃さないって決めてるからだよ」  「私、だから結婚はどうしても嫌なの!」  そう言うと、くるりときびすを返して、札幌の街を駆け出した。  まさか、東京の病院にいるはずの彼がここまで追いかけてくるとは思ってもなかった。  「紫、走って逃げても無駄だぞー、どうせ……」  恥ずかしい、大きな声で追いかけてくる。みんな、道を空けて見ながら、こそこそ何か言ってる。    そうだよ、皆さん。このおじさんはストーカーです。  何しろ、前世から追いかけてくるんだから、相当たちの悪いストーカーだよ。    助けて欲しいという顔で周りを見るけど、みんな知らんふりを決め込んで遠巻きにして見ている。
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