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爺ちゃんへの挨拶が終わったところで居間に向かうと、婆ちゃんは暖かいお茶を差し出してきてくれた。
「そういえば母さんは明日来るって言ってたよ。色々と引越しの手続きとかあるからってさ」
「手紙が来てたから聞いているよ。ごめんね、引越しに付き合わせちゃって」
「いいよ別に、どうせ暇だったし。それより婆ちゃんコレ使わないの?連絡もすぐ出来て便利だよ」
ポケットから端末を取り出して掲げて見せると、うーんと困り顔で婆ちゃんはかぶりを振った。
「アスカちゃんもそう言ってくれたんだけど、どうも新しいものが分からなくてね。一度買ってもらったのに壊してしまって」
「壊すってよっぽどだね」
「なぜだかよく分からないけれど、説明書通りにしたら爆発しちゃった」
啜ったお茶を噴き出しそうになる。
そんな俺を見てオロオロと婆ちゃんは背中をさすりに来ていた。
壊すならまだしも、爆発?どう操作したら爆発することになるのだろうか。
「えーっとそれで、怪我とかはなかったの?」
息を整えながら聞いてみると。
「その時はソウタさんが庭に投げてくれたから大丈夫だったのよ。私の使い方が悪かったんだろうね。アスカちゃんにも怒られてしまって、もう暫くは持たないようにって」
申し訳なさそうに背をさすり続ける婆ちゃんは答える。
疎いと言うレベルの話ではないのは確かで、母さんが異様に心配するのも頷ける大事件だ。
引越しの手伝いなんて乗り気ではなかったが、一刻も早く近くにいて貰った方が心配しないで済みそうだ。
「今度使い方も教えてあげるよ。それじゃあ、引越しの準備しとくか。何もしてないと母さんがうるさいし」
気は重いままだが、実際に何もしていないところを見られたら、雷が落ちる程度ではすまなさそうだった。
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