バツゲーム

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 次の日、重い足取りで教室へ向かう。 「おい」  教室の手前で正面に誰かが立ち、ドスの効いた声が降ってきた。顔を上げると日下部くんと仲の良い、隣のクラスの井上くん。茶髪に着崩した制服と、日下部くんとは対極のような見た目の美形。整った顔立ちは眉間に皺を刻んで俺を見下ろす。 「放課後ツラ貸せ。昨日、誠司を呼び出した場所に来い」  俺の返事を聞く前に、隣の教室に入っていった。しばらくそこに立ち尽くす。  日下部くんは昨日の事を井上くんに話したのか。俺がフラれただけなのに、井上くんは俺に何の用があるんだろう。  チャイム音で我に返り、慌てて教室に駆け込んだ。  休み時間の度に田中に励まされ、早川は、納得がいかない、とブツブツ言っていた。早川は何に納得がいっていないのか聞いても難しい顔をするだけで、教えてくれなかった。  放課後田中と早川に誘われるが、井上くんに呼び出されている事を告げて断る。  体育館裏に行くとすでに井上くんが待っていた。体育館を背もたれにして座り、足を投げ出してスマホを弄っている。 「井上くん、俺に何の用?」  こちらを見上げて隣を指す。 「とりあえず座れよ」  俺が腰を下ろすとスマホをカッターシャツのポケットにしまう。 「あのさ、誠司に嫌がらせすんのやめてくれねーか?」  ……嫌がらせ? 嫌がらせをした記憶なんて全くないが、何のことだろう。 「俺、日下部くんにそんな事してないよ」 「は? 昨日罰ゲームで告白したんだろ?」  俺の告白が嫌がらせって事? 俺はそこまで日下部くんに嫌われていたのか。 「昨日、誠司の様子がおかしかったから聞き出した。お前に罰ゲームで告白されたって。誠司の気持ち知ってて弄んだんだろ?」 「ちょっと待った!」  突然の大声に俺と井上くんは肩を跳ねさせた。  血相を変えた早川が走り寄り、その後ろを何も分かっていないといった様子の田中がついてくる。……2人とも聞いてたのかよ。 「あのね、誤解してるよ。『罰ゲームで告白』じゃなくて『罰ゲームで好きな人に告白』だから。それに日下部の気持ちに気付いてるのは俺だけ。だから弄んだとかじゃないんだ」  早川が口早に説明する。早川は日下部くんの気持ちを知っていたって事は、俺がフラれるの分かっていて告白させたのか? 俺、早川にも嫌われてる?
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