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「……誠司の事好きなのか?」
井上くんに聞かれ、小さく頷いた。嫌われているけど俺は好き。
「罰ゲームで好きな人に告白ってのは、中森に日下部へ告白させるために俺が言い出したんだ。こうでもしなきゃ、中森が告白なんてしないと思ったから。中森と日下部の気持ちに気付いてもどかしくて」
「ちょっと待って! 俺に告白させるって、早川か田中が負けてたらどうしてたんだ?」
「中森が負けるまで賭けるつもりだった。俺と田中付き合ってるから、俺らが告白する分には何も問題ないし」
俺、早川と田中が付き合ってたなんて知らないんだけど。
「罰ゲームで告白だと思ったから、日下部はあんな風に断ったのか。やっと腑に落ちた」
晴れやかな顔で頷く早川だが、俺は何も要領を得ていない。田中も口をポカンと開けて首を傾けているから俺と同じだろう。
「もしもし、誠司? まだ学校にいる?」
『いるよ。今から帰るところ』
「そう、じゃあ今から体育館裏に来て」
『そこはあまり行きたくない』
「嫌なの? 俺のお願いでも?」
『……分かったよ。ちょっと待ってて』
「はーい」
井上くんが電話をしている間、俺たちはずっと黙って聞いていた。
「誠司呼び出したから。今度は罰ゲームじゃなく告白して。あと、昨日の告白は『罰ゲームだけど、好きな人に告白』ってちゃんと説明してやって」
「え? 俺、また告白するの?」
2日連続でフラれろって事?
「だって誠司にちゃんと伝わってないし」
「中森だって日下部と気まずいままは嫌だろ? ちゃんと説明して、罰ゲームで告白って誤解を解かないと」
井上くんと早川に肩をポンとされた。田中は頑張って、と手をギュッと握ってきた。すぐ早川に引き剥がされたけど。
少し待てば日下部くんが姿を現す。
「誠司、話聞いてやって」
俺と日下部くんだけが残り、3人は離れていった。
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