目覚まし時計

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昔、マミコは着せ替え人形を持っていた。 小学校に上がる時、入学祝いに買ってもらった。 たくさん遊んだ、お気に入りの人形だった。 だけど中学校に上がる時、妹にあげてしまった。 「マミちゃんはもう中学生になるんだから、お人形なんていらないでしょ、妹に譲ってあげるわよね」 と母親が妹の前で言い、勝手に決めてしまったのだ。 「イヤだ」と言い張ることも出来たけれど、背伸びをしたい年頃だったマミコは、当然というフリをした。 何度も心の中で「ごめんね」と言いながら、未練たっぷりだけど妹に譲った。 実際に中学に入ってみると、バレー部の練習が忙しくて、人形で遊ぶ暇なんてなかった。 だから妹にあげて良かったと思うのだけど、自分の意思ではなく手放したことに、いつまでも釈然としない気持ちは残った。
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