良い夢を

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「いいじゃん。最後なんだから、言いたいこと何でも言うよ。だから宗助もちゃんと言ってね」 「……わかった」  宗助はあんまり納得していないのか、拗ねたような表情でうなずいた。  できあがった料理をテーブルに並べていく。玉子焼きがうまくできなくて、2回目を宗助にやってもらったらすっごく綺麗になった。  綺麗なほうが絶対おいしいのに、宗助はこっちのがいいって歪なあたしの作ったのを食べてくれるらしい。あたしは宗助が作ってくれた玉子焼きがいい。  あたしが作ったやつは白だしが薄そうに見えるからって、大さじで5杯くらい入れてしまった。味見したとき恐ろしくしょっぱかったし、形が悪くて見た目もよろしくない。食べないほうがいいよとは言ったけど、宗助がそれでも構わないって答えたからあたしはもう知らない。  宗助とテーブルをギリギリまで窓際に寄せて腰を下ろす。開けた窓から入り込んでくる冷気に身を竦めつつ、ベランダに足を投げ出した。行儀が悪いけど、今日だけだ。外を眺めながらの晩ごはん。 「毛布忘れてるぞ。ほら」 「おー、ありがとう。食べよっか」  いただきますと手を合わせて、まずは宗助の玉子焼きから。だしの濃さが絶妙で、まさにあたしが作りたかったのはこういう味だ。  じんわりと優しく体に染み渡る美味しさを噛みしめていると、横の宗助が盛大にむせた。 「おま……っ、これ、何だこれ⁉」 「だから言ったじゃん。白だしを大さじ5杯やっちゃったんだって。恐ろしい味するよって教えたじゃん」 「水入れた?」 「えっ、水いるの? 薄めたらスープみたくなりそうだったから、そのまま入れた」  そもそもが白だしの使い方を知らなかった。もう水で薄まっている調味料なんだとばかり思ってた。
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