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「えっとね。例えば湯気が沸いている水があるとするじゃん?それに手をいれると、それがどんなに冷たくても、熱いと思って思わず手を引っ込めちゃうでしょ?それと同じように、殺気を強く送り過ぎると、本当は切れてないけど、体が切られたと勝手に誤解しちゃうんだよ」
「なるほど、それはすごいな」
僕は一瞬にして理解した。いくら殺気を放てると言っても、あそこまでの幻覚を見せることはきっと不可能だ。世界中のただ一人を除いて。
つまりこいつはきっと "常人の何倍もの殺気を放てる" っていう才能をもっているんだ。
僕は、その能力が気になった。
「殺気を放つ能力か……もう一回僕に放ってみてくれないか?できるだけ強めで」
「君ってほんとはMだったの〜?」
横のやつに誤解されたが、それよりも今は白髪の男の能力に興味が湧いていた。
アラタがお願いするように白髪の男に頼んだ。
だが白髪の男は手を振り、拒んできた。
「だ、だめだよ!まだ制御できないって言ったでしょ!僕の殺気は本気で放てば、実際に体を貫いちゃうんだ!だからもし失敗したら本当に君が死んじゃうんだよ?」
(思ってたより恐ろしい能力だった。こいつの能力が死んだ体にも効果があるということを、体験して理解しているため、流石に死ぬリスクは背負えなかった)
「そうなのか、やめとく」
「え〜?そのまま真っ二つにされればいいのに〜笑
……って痛っ!」
ムカついた僕はニヤついている彼女の頭を殴った。
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