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第四話「記憶の手がかり」
「何であいつのこと知らないんだよ!殺されるかと思ったわ!」
目的地に着いた直後、僕は彼女に怒っていた。
「だって〜普段神様と喋らないから、こんな所に神様のお気に入りの子が居るなんて思わなかったんだよ〜。てかもう死んでるじゃ〜ん」
彼女は座りながら手をツンツンさせ、申し訳無さそうにしていた。
「……まあいいよ。よっぽどのことが無い限り、もう合わないだろ。そんなことより、ここってさっき言ってた俺の家か?」
アラタ達の目の前に映ったのは、ボロく、誰かが住んでいる痕跡が全く無い小さな家だった。それはまるで、来るものを拒んでいるかのような見た目をしていた。
入口は草で覆われ、周りの風景とは対照的で、逆に浮いている印象を受けた。
「そうだよ。君はここで一人ぼっちで暮らしているの。孤独にね」
「一人暮らしってことか?」
「そうだよ。まあ…暮らしてるっていうか空き家に勝手に住み着いてるだけなんだけどね」
「なんでそんな事してるんだ!?」
やはり自分は普通では無いことを実感した。
アラタが理由を教えて欲しそうにしていたが、彼女は首を振った。
「ごめんね?まだその頃は、君のことを認知してなかったから、理由までは分からないの」
また彼女の評価が下がった。
「そうだよな、忘れてた。全部知ってるほど君は有能じゃないんだったっけ」
アラタが毒を吐くようにセリフを言った。
「ハァ〜?誰のおかげでこの世界に来れていると思っているんだよ!バーカ!」
怒りだして暴言を吐いてくる彼女を横目に、僕は自分の家へと入っていった。
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