第四話「記憶の手がかり」

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扉を通り抜け、リビングに行くと、僕が仏壇の前に正座をしていた。仏壇には写真が置いてあり、小学生くらいの女の子が飾られていた。 「ちなみに今は、さっきの事件のすぐ後の出来事だからね」 「静かに!僕が何か言ってる」 仏壇の前にいる男は、飾られている写真に向かって独り言をしていた。 「今日、ついに始めたよ。これで僕はもう引き返せなくなった。お兄ちゃんを見ていてくれ、僕が神になるところを」 唐突に言われた "神になる" という言葉が僕は気になった。 「神になる?僕は何の神になるつもりだったんだ?」 彼女に聞いた。 「もう分かっているでしょ?彼は人間にとっての悪魔。言うなれば、魔神になろうとしていたんだよ」 彼女は真面目な顔をしていた。 表情から察するに、僕は本当に神になろうとしていたのだろう。 実際、生前の僕は神に近い存在にはなれていたのだろう。 僕がそんな事を考えていると、生前の僕が自分の部屋に戻っていった。 「この後、君は寝てたけど見に行く?」 「いや、部屋を探索したい。まずこの部屋を見よう」 (今はとにかく情報を集めたい。ここは情報の塊だ。全部見落とさずに探索しよう) アラタが歩き出し、先程まで彼が座っていた仏壇の前まで移動した。
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