第一話「神の判決」

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第一話「神の判決」

「ここを歩いていけば良いのかな?」 記憶が無いまま目を覚ましたアラタは、半信半疑のまま巨大な龍のような者の前まで歩いていった。 その龍には貫禄があり、まさしく神であろうと形容できるような見た目をしていた。 「あの、ここはどこなのでしょう?僕みたいな普通の人が来ても良い所なのですか?」 アラタがその龍に訪ねた。 「ここは死後の世界。我は、生前に悪を働いたものには地獄を、平凡に人生を全うしていたものには生まれ変わりを判決する、言わば神である」 その言葉を聞いた瞬間アラタは安堵した。 "記憶はない" ため、見た目での判断しかできないものの、地味な顔立ちに平凡な体、誇れるものは何も無いであろう姿をした者が、まさか悪人では無いだろうと思ったからだ。 アラタが胸を撫で下ろしていると、少し遠くから声が聞こえた。 「たしかに見た目は危険のなさそうな好青年って感じだけど〜人って案外裏の顔があるんだよね〜」 その言葉にアラタは驚いた。 まるで、アラタの考えていたことがわかっているかのように、隣に来た青髪の女性は、アラタに話しかけてきた。 「君がどんなに自分は良い人って思っていたとしても、決めるのは神様なんだからね〜?覚悟しときなよ?」 その女性はニヤニヤしながら神の方に指をさし、僕に喋りかけてくる。 「すまない、彼女はある目的のために前に雇った私の部下だ。まあちょうどいいから一緒にいてくれ」 神様が少し申し訳無さそうに言ってきた。 (ちょうどいい?なにがちょうどいいんだ?) 疑問を口にしようとしたが、その前に神様が口を挟んできた。 「突然だが、今からお前の判決を言い渡す」 (勝手なやつだな) そう思いながら僕は神様の方に耳を傾けた。 「お前の判決は、"地獄行き" だ」 「え?」
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