第一話「神の判決」

3/4

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「おい君、今 "全部知ってた" って言ったよな? つまり、僕がなんで人殺しをしていたのか。だったり、僕が死んだ理由とかもわかるってことだよな?ちがうか?」 アラタが女性の肩を掴みながら、高圧的に質問をした。 「んっ……そんなにがっついて聞いてこないでよ、怖いなぁ〜」 女性はすこし距離を空けて、とてもさっきまでと同じ人とは思えないような、真面目な顔つきで、続きを話し始めた。 「もちろん全部知ってるよ。見ていたからね。 君を天界から監視する。それが私の仕事であり、ここにいる理由なんだから」 「僕を監視するのが君の仕事?」 「そう。全ての人間が……いや、全生物が恐怖したと言われた君という存在を監視し、君に全てを知ってもらうのが、私の役目なんだよ」 驚いた。どうやら生前の僕は、思っていたよりも、ずっと悪に染まっていたらしい。 現実味が無さ過ぎて、本当のこととは思えなかった。 しかし、僕は知っていた。こういう場合、あがいた所で結果は変わらないということを。 僕は覚悟を決めた。 「わかりました……。では地獄に行けばいいのですね……言われた通りに」 アラタが進もうとしたとき、アラタを進ませないように、元のニヤニヤした顔をしながら、彼女が行く手を阻んできた。 「なんだ?僕はもう地獄へ行くんだ。どいてくれないか?」 今更いたずらをしてきて、何なのだろうかとアラタが呆れていたその時。 「君、死ぬ前の自分のことをもっと知りたくはないのかな?」 彼女が言った。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加