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中に入ると、すでに来ていた生徒たちが大勢席に座っていた。だがその中にアラタの姿は見えなかった。
「おい、僕がどこにもいないんだが?どういうことだ?」
「そりゃ今はいないさ。まあ待ってなって」
(ん?よくわからないが少し待ってみるか)
そう思い、周りを見回したアラタは、座っているある一人の男子生徒に視線を向けた。
卒業生のいる席に座る白髪の男。整った見た目に反し、目は虚ろになっており、まるで、死人のような形相をしていた。ただ、ネクタイの辺りをさすっている辺り、本当に死んでいるわけではないということがわかり、安堵した。
アラタが白髪の男をじっくり観察していると、その男と目があった。
(あれ?目があった?)
その時、頭にノイズ音が鳴り、瞬きをした直後、アラタの右腕が消えていた。そして同時に、その腕と心臓辺りから血が吹き出してきた。
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