ロバとパンダとケヤキのおじさん【再編集版】

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 あまり運動できるような格好ではなかったけど、二人のウルウルした顔に負けて少しだけ混ざることに。 「じゃあお姉さんが鬼になるから、二人とも逃げてね!よーい、はじめっ」  そう言って10数えた後で二人を追う。  ちょこまか逃げる子ども達は意外に早くて、最近運動不足だった私はすぐに息切れしてしまった。  私が逃げる方になればよかったかな、と思いながら走っていると、ある事を思い出した。  そういえば、この公園の真ん中には大きな木があって、その木の周りをぐるぐる回ったり、枝に掴まったりした記憶がある。  それから、以前は砂場の横に動物のバネの乗り物もあった。 (たしか…ロバとパンダだった気がする)  鼻が大きくて、一緒に遊んでいた友達がいつも「ロバじゃなくてブタだよね、これ」と指差して笑っていた。  それが、作り物だと分かっていながらも少しだけ可哀想に思えて、「そんなことないよ、可愛いじゃんっ」とロバの頭を撫でながら言い返したこともあったかな。
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