0人が本棚に入れています
本棚に追加
昇日第3地区から第5地区への境界線、黒の森前
日は沈み、夕焼けが黒く染まりつつある時間、男が赤く染まる第5地区を眺めながら、身につけていた能面を外した
「今日も疲れた〜。」
いや〜、くたくただ
朝から晩までイタズラ三昧
イタズラしては追いかけられ、追っ手にイタズラしては追いかけられを繰り返してを繰り返してもう夕方
悪戯仮面の名に恥じない程イタズラしまくったぞー!
「ほーんと、此処はイタズラしがいがある世界だな〜。」
古代竜の気配を持つ橙の男と赤の男と緑の女、皆真面目ちゃんで腕が鳴りまくり鰻登り、毎日イラズラしてるのに、律儀に追いかけてくる、楽しいったらありゃしない!
「今日も最高の日だが、更に最高な出会いのお陰で、今日は超超超最高の日になってしまった!」
赤の奴がいる第5地区から更に内側に向かうとある第3地区の黒い森、の中に建つ教会
教会に隣接してある畑を管理していた黒の女ことビナーに、たわいないイラズラを仕掛け、友達となった
えっ?そんな感動的なシーン無かったって?そこに関しては問題ない!何故なら俺がイタズラを仕掛けたやつは、全員友達だからだ!
「もう本当にハッピーハッピーハッピィって感じだぜ。この喜びをハッチャケ領の奴らに教えてやんねぇとな。よし、帰ろう!」
もう少し夕日見てからがいっかな〜、まーいいや何でも考えながらお気に入りの仮面付けて、家の鍵を開ける様に能力を発動す....
「見つけた。」
突然声をかけられる
後ろを見れば、女が立っている
星屑の様な淡い輝きを放つ長い金髪、中心が黒く血の様に真っ赤な瞳、囚人服の様なつなぎの様な手足が広々とした服、高いヒールに、笑顔
今朝方友達となった、黒の魔人
...気づかなかった
唯の魔人では無いのは知っていたが、気配も魔力も足音も完全に消して、魔神王である俺の背後を取るとは
「今朝ぶりですねゼロ君。いや、悪戯仮面君?」
「......独り言全部聞かれてたか〜。いやぁ、恥ずかしい恥ずかしい!あ、サインいる?」
「いいや結構、友達には必要ないでしょう?」
全てを見通す様に血の様な赤い目が、細められる
考えてた事も見透かされてるなこれは
夕陽はほとんど沈み、影が景色と一体になっていく
嫌な予感がする
予感は着々と迫りつつある
「綺麗でしょう、此処の夕暮れは。ビナーもこの景色は好きです。」
「全くもってその通りだ!こんなにも美しい景色は殆ど見たことがない。だからこそ興奮が冷める前に、愉快な奴らに教えに行きたいんだ。いいだろう?」
「えぇ、とても。でも、せっかく再開できたのですから少しだけ居ましょうよ。こんなに素晴らしい黄昏なのだから。」
黄昏
聞き覚えが有る、確か子供達が面白がって喋っていた都市伝説
陽が沈む頃の森には行っちゃダメ。迷ってしまったのなら良い子も悪い子もすべからず、黄昏様に連れて行かれる、と
まて、確か赤の男にも忠告された
黄昏には、ビナーには絶対にイタズラをするなって
「ビナーと一緒に、遊びましょ?」
黄昏はとうに超え、夜の帷は降りた
黒の森を背に、星の如き輝く金髪を靡かせながら微笑む黒を見て、逃げられないと、悟るのだった。
最初のコメントを投稿しよう!