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「...はっ、.....はっ、どーしたもんかな。」
黒の森を駆ける
いや、駆けざる負えなくなったというか
微量の魔力と風を切る様な音を感じた瞬間、飛び、黒の魔人を越して、振り返らず走った
あの時点でやらかした、完全に誘い込まれた。
土地勘ない奴を、自分の陣地へ誘導するなんて、正しく狩人が獣へ行う狩りそのもの
基礎能力なら負けてないが、魔力放出量と戦闘なら向こうの方が上だ。
「何とかして本体止めて、その間に権能使って逃げればいいっ......あぶねっ!?」
微量の魔力を感知し咄嗟に後退する。
地面からは細く赤黒い長剣が勢いよく飛び出る、さっきの音もコレかと冷静になりながら体制を整える
魔女やら魔人やら言われるだけあって魔法か魔術を使うと踏んでいたが
魔力探知が間に合うか間に合わないかわからんぐらい、精巧で素早い魔術を通常攻撃感覚で出してくるとは思わないだろっ!?
「遅いよ?」
聞き慣れてきた声が後ろから聞こえる
ヤバい、考えすぎた
戦い慣れてる奴が、こんな好機を逃すわけなかった!
流し目で後ろを見る、黄金に輝く金髪を靡かせながら目を見開いて笑う魔人が
ザシュッ!
ブォンっ!
「いっっってぇぇぇっ!...あいつ、友達を躊躇いなく刺したなっ!?」
咄嗟に身体を捻り、急所狙いの一撃を無理矢理ずらし、流れに乗って右腕で魔人に触れ、権能を使い遠くに飛ばす
本当に咄嗟だったから余り遠くに飛ばせなかった
「あの感じだとすぐ戻ってくる。此処で逃げてもいいけど、やられっぱなしは悪戯仮面の名が廃るから嫌だっ!だが、どうしたものか...。」
ぶつぶつと溢しながら歩くと開けた場所に出る
木々が円形に避けた何も無い広場、身を守れる様な障害物一つもないこの場所で追いつかれたら、間違いなく終わる
でもそれは、多分あいつもそう
此処には何も無い、だからこそ、油断と隙が生まれる
「......よし、やるか。」
イタズラ以外では余り使いたく無い権能を使わざる負えない状況に嘆きつつ、頬を両手で軽く叩き、身を引き締めた
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