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「はぁ...はぁ...。」
あぁ、流石に疲れた
キャラじゃ無いことをすると本当に疲れる
俺はただただイタズラが大好きなだけの魔神王なのに
砂埃が晴れる、魔人は倒れている
当然だ、魔神王舐めんなってのっ!
戦士としては上でも、元々の格は違うんだからな
「...全く動かないけど、死んで無い...よな?」
耐えると踏んで放ったが、大丈夫だよね?
...ま、まあ、殺そうとしたのは向こうだし、いいっか
「取り敢えず、帰ろう!今日はイタズラ以外特に何もなかった、それでいいはずだ。うん。よし、帰るかっ!!」
あいつも俺も、今日の事は忘れた方がいいと無理矢理納得する
大丈夫大丈夫、明日になればまた友達!
そしてまた楽しいイタズラの日々が......
「惜しかったね?」
マズイと思う事も、反射で避けることも出来ず、手を口に無理矢理入れられ、そのまま地面に叩きつけられた
俺の上に乗っかられ動けない!
「知ってる?殺し合いはね、最後こそ気を抜いてはいけないんだよ?」
魔人はのんびりとした口調で話しながら、四肢の付け根に体重をかけていく
何故だっ、俺の必殺技は完璧に入った筈!?
「何故無事なのかがわからないって顔ですね。うーん、強いて言うなら、足元がお留守だった、からでしょうか?」
足元、引っ張った方の左足首
必殺技が当たる前に、身代わりを作って左足首に移動した、のか
人間と同じ造形だと侮った
あいつは骨の髄まで怪物だったらしい
「どうしましょう?どうしましょう?楽しいわ。楽しいわね?うふふふふふふふ。」
赤い目が、笑顔が、怪物が迫る
あぁ、駄目だ、逃げられない
此処で、終わるのか
悪戯仮面の伝説は、ここで、終わるのか
......嫌だ、嫌だ、絶対、ぜっっったい嫌だ!
まだハッチャケ領とめっっっちゃくちゃイタズラしまくりたいんだっ!!
こんな所で死んでたまるかっ!!
近づくってんらな、そのデコに伝説の痛い一撃決めてやるっ!!
さあ、こいっ!!ビナーーーーっ!!!
ふにっ
......あれ?
なんか、やわらかいものが、おでこに
「......は、......えっ!?」
「いっえーーーーーーいっ!!!イタズラ大成功っ!!!」
魔人が無邪気に喜ぶ、文字通りイタズラが成功した少女の様に
間違いない、こいつ、俺のおでこにキスをっ!?
「どうでしょう、どーでしょう、ビナーのイタズラは?ふふふっ!人を騙すというのは中々愉快なものですね?癖になりそうです。あ、でも我々人じゃないや〜。あははははっ。」
「.....。」
「知っていますか?キスはキスする場所によって、意味が変わるんですって。額へのキスは友愛、ズバリっ!、ビナーのイタズラはゼロ君への友情の証なのでーすっ!!」
......魔人が、いやビナーが恐れら、嫌煙される理由がわかった
イタズラした時の反応も、俺に向けた殺意も、殺意に隠したイタズラが成功した喜びも、全てが本心
悪戯仮面をイタズラで上回る為だけに、用いる技術を全て使った、魔性の女の振りした極度の負けず嫌い
「さて、もういい時間なのでビナーは帰ります。お疲れ様でしたー。」
「お、おう。お疲れ。」
千切れるほど手を振ってビナーは闇に消えていった
完全に気配が消えたことを確認して息を吐く
ああ、慣れないことをした、慣れないことをし過ぎた
疲れた身体を動かして権能でハッチャケ領の自分の部屋に繋げる
権能内を潜りながら、悪戯仮面らしくない行動を恥じつつ、ベットに沈んだ
「悪戯仮面である俺が悪戯返しされるとは、うごごっ。」
イタズラをイタズラで返されたのならば、すべきことは、またイタズラで返せばいい
曲がりなりにも向こうも友達と認めたのだ
多少のイタズラなら快く受けてくれるだろう
でもまたイタズラをするなら、その時は、控えめに、そして、黄昏時ではなく、青空が広がっている時に
「もう戦うのはこりごりだ〜。...ぐぅ。」
「何かよかことあったんか?」
「新しい友達できたんだ〜。あ、おかわり。」
「そうか、そうか。そりゃよかった。」
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